小さな先輩と小旅行 (AKIBA賞応募)(完結)

ライトなラノベコンテスト用です。
『僕』と先輩のSF(少し不思議)な小旅行のお話です。

2013/11/24 完結しました。
読んでいただいた皆様ありがとうございました。

2014/03/27 AKIBA PC Hotline!賞を頂きました!

ライトなラノベコンテスト

小さな先輩と小旅行 その6 案内

「それではご案内致しますにゃ~」
 
 猫耳の少女……ネコミさんは「にゃんにゃん」言いながら、さながら旅行ガイドさんのごとく僕たちの前を歩き始めた。
 僕は素直にそれに着いてゆこうと足を踏み出す。
 何故か僕の服を掴みつつ、先輩もそれに続く。

「……ちょっと歩きにくいんですけど」
「きみ、知らない人に着いて行ってはいけないと習わなかったのかい?」
「そりゃあ習いましたけど」
「ウサギを追いかけた少女は不思議の国に迷い込んでしまったそうだよ。あの猫は追いかけても大丈夫なのかね」
「いやまぁ少なくとも、不思議の国には連れていかれないでしょう」
「にゃはははは、秋葉原はもう不思議の国と言っても不自然ではないですにゃん」

 と、ネコミさんは僕たちの会話に自然と入ってきた。
 彼女は両腕を背中にまわして後ろ向きに歩きつつ、ニンマリと猫のように微笑む。

「ご主人様とお嬢様は、秋葉原に来たのは初めてですかにゃ?」
「あぁ、うん。ちょっとした旅行で東京に来たんだよ」
「ほほ~う。それはそれは~素晴らしいですにゃあ」

 ネコミさんは口元を押さえて僕と先輩の顔を交互に見てから再び前を向いて歩き始めた。
 ……何が素晴らしいんだろうか。
 秋葉原が不思議の国かはさておき、彼女は十分不思議な存在に思えた。
 しばらくは人通りの多い道を真っすぐ歩いていたが、不意にネコミさんは左側の路地に足を向けた。

 なんだか突然人の気配が消えたなぁと思いつつ歩いていると、先輩が僕の服を引っ張った。

「きみはあぁいう、語尾に『にゃん』とか付ける女の子が可愛いと思うのかね?」
「うぅん……どうでしょう。まぁ、新鮮ではありますけど」
「私もあぁいうキャラ付けをしてみようか」
「先輩は今のままで可愛いですよ?」

 バシン、と背中に平手打ちをされた。
 思わず振り返ると、耳を赤くした先輩が俯いていた。
 どうやら照れ隠しらしい。
 面白い。
 そんなやり取りをしているうちにも、僕たちは人気のない路地をずんずん進んでゆく。
 しばらく歩くと、ネコミさんはまた進路を変え、今度は右方向に歩む。
 そうすると、再び景色は入れ替わる。
 その通路は、道の両端が小さな店で敷き詰められていた。
 どれもこれも何だか分からない電子部品を取り扱っているようだった。
 
 なんだか写真でこういう光景を見たことがあるな。
 秋葉原は電気の街というだけあって、こういう僕たちにはよく分からない部品も色々取り扱っているらしい。
 この雑多でさびれていて時代に取り残されたような感じ。
 時間が止まったみたいな感覚。
 結構好きかもしれない。
 不思議な雰囲気を味わっていると、再び先輩が僕の服を引っ張った。

「おい、きみ。こんな場所に、本当にメイドカフェがあるのかい?」
「さぁ……近道とかかもしれないですよ?」

 しかし、確かに距離があり過ぎるような気はした。
 ネコミさんが現れた地点からもうかなり離れているだろう。
 案内してくれるのは良いが、道に迷って帰れなくなっては困ってしまう。

「ねぇ、ネコミさん」
「にゃん?」

 ネコミさんはこちらを振り返らずに答える。

「そんなかしこまらなくっても、ネコミたんで良いですにゃ」
「……ネコミさん」

 聞かなかったことにした。

「僕たちけっこう歩いているけど、メイドカフェはまだ? というか、ここはどこなんだ?」

 僕が問いただすと、ネコミさんは振り返る。

「なぁに言ってるんですにゃ~」

 嘲るように両手を後ろで組み、
 裂けるようにニンマリと微笑み、
 妖艶にエプロンを振り乱し、
 猫耳としっぽを小刻みに揺らし、
 ネコミさんは僕たちを舐めるように見つめる。

「アキバに決まってるでしょう?」

 その時初めて、ネコミさんの背後に大きな建物があることに気がついた。
 まるで電気街には場違いの、洋風で古風な赤茶色を基調とした建造物。

「ようこそ、アキバのメイドカフェへ」

小さな先輩と大きなお知らせ

http://www.ips.co.jp/press/2014/05/001007.shtml
http://qb.impress.jp/2014/llc0508/

予約開始だよきみ
しおり
一日目

--- 新幹線 ---

その1 不変

--- 東京観光 ---

その2 目的

--- ホテル ---

その3 不安


二日目

--- 秋葉原 ---

その4 猫耳


その5 相談


その6 案内

--- 秋葉原? ---

その7 価値


その8 代償


その9 好物


その10 遭逢


その11 甘苦


その12 遊戯


その13 原因


その14 敗者


その15 釣合


その16 沈思


その17 先輩


その18 出発
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